ランナーの栄養摂取のコツ(レース本番直前編)

ランナーにとってカラダのコンディショニングは重要なテーマです。
レース本番での完走や自己記録の更新を望むのであれば、普段からコンディショニングを意識したトレーニングや食事管理が必要となるでしょう。
今回は、「ランナーの栄養摂取のコツ(日常編)」に続いて、レース本番直前の理想的な食事の流れについてお伝えします。
1)グリコーゲンローディング(カーボローディング)について
グリコーゲンローディングは、長距離を走るために必要なエネルギー源となるグリコーゲンを筋肉中に最大限に蓄積するための特別な食事法のことを言います。
骨格筋に貯蔵されているグリコーゲンの量には限りがあり、エネルギー換算で約1,600kcal程度と言われています。フルマラソンは1回を走り切るのに、体格やペースによりますが、平均2,500kcal以上のエネルギーを消費すると言われているので、筋グリコーゲンの貯蔵量だけでは足りないのです。
そこでグリコーゲンローディングをすることで通常の2倍近くの筋グリコーゲンが蓄えられることが分かっています。
2)グリコーゲンローディングの種類と方法
グリコーゲンローディングの方法には、「古典的」な方法とそれをもとにアレンジされた「改良型」と「最新型」の3種類あります。
以下の特徴を踏まえた上で、現在のトレーニング頻度やレース参加経験等を考慮してあなたの身体に合った方法を選ぶといいでしょう。
また、グリコーゲンは筋内に貯蔵される際に、1gのグリコーゲンに対して3~5gの水分子と結合すると言われています。つまりグリコーゲンローディングを実施することで約1~1.5㎏程度体重が増加する可能性があるのでその点も頭に入れておくといいでしょう。
■古典的グリコーゲンローディング
まず初めの3日間は低糖質+強度の高いトレーニングでグリコーゲンを枯渇させ、3日前から高糖質食を摂取する方法です。古典法は、グリコーゲンを大幅に減少させることによりアスリートにとって負担が多いため、現在ではあまり用いられないことが多いです。
■改良型グリコーゲンローディング
レース本番の6日前から3日間、軽い糖質制限食(中糖質食)に切り替え、本番3日前から高糖質食に移行するというもので、古典的よりも負担が少なく筋グリコーゲンの貯蔵量を高めることができます。
■最新型グリコーゲンローディング
普段からトレーニングを積んでいる持久系のアスリートに関しては、骨格筋に糖を取り込む能力が一般の人よりも高く、高糖質食摂取後およそ1日程度で筋グリコーゲンが最大まで回復するという最新のデータに基づき、レース本番の2日前から高糖質食を摂取するという手法が提案されています。試合直前まで普段通りの食事を摂ることが出来るため、改良型よりもさらに負担を減らすことが出来ると考えられています。
3)具体的な食事例
高糖質食の期間は、ご飯やパン、めん類といった炭水化物が中心の食事にします。
大阪の食卓では常識と言われている、「お好み焼きとご飯」といった炭水化物同士の組み合わせがこの期間には推奨されます。
最低限のたんぱく質とビタミンミネラル等の野菜・海藻類・果物などは摂った方がいいですが、この期間にはご飯やめん類等の主食の比重を大きくするイメージです。
おにぎり、パスタ、パン、雑煮、おまんじゅう、羊羹、カステラなど、間食タイムも活用しつつ好みのものを組み合わせましょう。
また、レース本番の前日からは、生もの、食物繊維が豊富なものや脂質が豊富なもの(=消化に悪いもの)、普段食べ慣れないもの、過度のアルコール摂取などは控えた方がいいでしょう。
次回はいよいよレース当日の食事の流れについてお伝えします!
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